昨日、突然20年前同じ職場で働いていた後輩の上田くんが電話をかけてきました。
あの当時、上田くんは大学を卒業したばかりの新人さん。
私が指導係兼お世話係として、彼が仕事で一人前になるよう、あれこれアドバイスをしました。
あの頃、ウィンドウズが全国津々浦々の職場に普及し、会計業務はパソコンができて一人前ということに
なってきました。
新社会人になったばかりの新人さんは、普通、熱心にまじめに仕事に取り組むものです。
もちろん上田くんもそうでした。
大学にいた当時は、体育会系の部活をしていたこともあり、パソコンを習う機会がなかったそうです。
そのこともあって、余計熱心に私の指導を受けていました。
しかし、どうしても仕事に慣れないみたいでした。
段々とストレスが重なり、顔にいきいきとしてものがなくなっていくのは、私が見てもあきらかでした。
上田くんと私の付き合いはたった8ヵ月で終わりました。
彼はその年の年末、突然姿を消したのです。
私がそのころ住んでいたところは、過疎地でしたので、職を放りだしたら、そこに住んでいられません。
そういう人間は東京のような大都会でそれまでの仕事から、タクシードライバーという逃げ道しかないのが一般的でした。
なぜ、彼が私の今の電話番号を知っているかなどという細かいことはどうでもよかったです。
とりあえず、上田くんが無事でよかったな、と思い、あの頃の遠い日の記憶がよみがえりました。