天の川~古都の夜空へと続く路~

京都は夜も素敵なんだよ、と言われて手を引かれてやってきたのは、夜八時過ぎのJR京都駅だった。

正面玄関から駅舎に入って彼の指さすままに上を見上げると、そこには高くて広いアーチ形のドームがあって、夜の照明にほのかに照らされていた。

京都駅はその東西をつなぐ東海道線、新幹線、そして、北からの山陰本線、南からの奈良線と近畿地方の交通の大きなつなぎ目である。駅の役目としては東の東京駅と同じ、ターミナル駅なのである。

だけど、いつも見ている東京駅の赤レンガ、ちょっと古風(レトロ)な面影を残す駅舎とは対照的なのに驚いた。

昼間見て歩いた京都の古都の面影とは違った味わいの、この京都駅の駅舎はこれで4代目なのだ、と彼は言う。

もっと素敵な場所に連れて行ってあげよう、そういう彼と高いアーケードの夜空の中をエスカレーターで昇って行った。

長いエスカレーターを昇ると、先刻私たちがいた改札階がずっと小さく見えた。彼が時折振り返って私を見つめると、少し夜空が近くなった気がした。

エスカレーターを昇ると、私たちの前に待っていたのは35m、171段の全長70mの大階段であった。

横にも長い大階段は、両側の建築に挟まれ、渓谷状にはるか高みから続いていて、私たちを遠く彼方へ誘(いざな)っているかのようだ。

それだけじゃないんだ、彼が時計の針を回すと、階段一面に現れたイルミネーション、ラメを塗り付けたような派手さではなく、ほのかな光の波が雅なきらめきを創り出していた。

さあゆこう、彼が私の手を握ると、この天の川は瞳の中で溶けてしまいそうで、階段の先はただ夜空へと続いてゆくのだと思った。